なるほどサイエンス(進化する紙のリサイクル)

進化する紙のリサイクル

 
1年前、この欄で「『時』を伝える紙の偉大さ」を紹介しました。古代中国で発明された紙は、100〜1千年以上もつことが実証ずみ。記録媒体のなかで、群を抜く信頼性を誇ります。
 
紙には、安く大量に作れる、リサイクルしやすいといった長所もありますが、忘れてはならないのは、記録したデータの機密保持も容易だということです。
 
紙は木の繊維を水中ですくことで、繊維同士が水素結合してくっついたもの。水につけるだけでこの結合が切れて、ばらばらの繊維に戻ります。そうなると、何が記録してあったのか、もうわかりません。
 
そうした紙の長所をフルに生かし、オフィスで使った紙をその場で再生する製紙機「ペーパーラボ」を、セイコーエプソンが開発しました。この製紙機に古紙を入れると、A4なら毎時720枚のペースで再生紙が作られます。今年度の全国発明表彰(公益社団法人発明協会主催)で朝日新聞社賞が贈られました。
 
最大の特長は、水をほとんど使わないこと。水につけるかわりに、古紙に機械的な衝撃を加え、ばらばらの繊維に戻します。そこに繊維同士をくっつける粉末を混ぜて、紙にします。「水を使うと製紙機が巨大になり、オフィスに置けない。排水処理のため、環境負荷も高まる」(同社)というのが理由です。
 
値段は2千万円台と高価ですが、地方自治体や銀行などに、すでに30台以上売れたそうです。自治体も銀行も大量の個人情報を扱うところ。機密保持が容易という紙の長所が存分に生かされています。

朝日新聞編集委員 上田 俊英



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