故に世の中おもしろい(考えるな。感じろ!)

考えるな。感じろ!

 
あなたの周りにもいませんか? 理屈ばかりを述べる人。そんな頭でっかちの「インテリ」を、扇風機のプロペラにたとえて皮肉ったのは劇作家の寺山修司だった。くるくる回っているだけで前に進まない、というのである。

江戸時代に編まれた忍術秘伝書「萬川集海」も、「考えすぎ」を「恐れ」「侮り」とともに「忍術の三病」としている。考えすぎると「敵が潜んでいるのでは」「爆薬が仕掛けられていないか」と不安ばかりが先立ち、身動きできなくなってしまうのだ。

1973(昭和48)年に公開され、世界中にカンフーブームを巻き起こしたハリウッド映画「燃えよドラゴン」にも名文句があった。主役のブルース・リーが弟子に武道の極意を教える場面。こう語っている。

「Don't think. Feel!(考えるな。感じろ)」

たしかに物事をむやみに考え過ぎると、自由な発想が生まれてこないことがある。水のように柔軟に対応できる変化が大切なのだろう。東洋思想が色濃く反映された武道哲学と言っていいだろう。

リーは「戦わずして勝つ」ことを理想としていた。まさに、風を受けてしなる竹である。風にまかせてしなることで持ちこたえる。硬直したものは砕けやすいのである。

映画の中でも勝ち誇らず、悲しげな表情を浮かべていた。どんな憎い相手を打ち負かしたところで自分の心は満たされない。そんな思想を表現したかったのかもしれない。
勝てば官軍ではないのである。

朝日新聞編集委員 小泉 信一



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