なるほどサイエンス(野生生物と、どう共存するのか)

野生生物と、どう共存するのか

 
朝日新聞の朝刊オピニオン面に年4回、山極寿一京都大学総長のコラム「科学季評」が掲載されています。2019年2月9日に掲載されたのはサル、シカ、イノシシといった「増え広がる野生動物」がテーマで、共存の道を探る必要性を論じています。実は同じ日の朝刊別刷り「be」に私の記事「イノシシとどうつきあうか」も載りました。偶然、コラボした形です。
 
野生動物の中でもシカとイノシシはいま、人とのあつれきが極めて深刻です。
 
16年度の推定個体数(生息数)はシカが272万頭、イノシシが89万頭。それぞれ年間60万頭前後も捕獲しているのに、数を減らすのは難しく、分布域もどんどん広がっています。
 
それは、いまの増加が人間社会の変化に起因しているからです。
 
日本では人口減少と高齢化で中山間地が衰退し、人と野生動物とを隔てていた境界線が続々と消失。環境省の野生鳥獣対策のガイドラインは「我々がかつて(少なくとも明治以降)経験したことのない事態が進行している」と指摘します。
 
野生動物との戦いは、実は人口減少・高齢化との戦いでもあるのです。
 
そう考えると、捕獲だけでは解決できません。新たな境界線をどこに、どう設けるのか。中山間地の衰退に、どう歯止めをかけるのか--。ことは国土利用の根幹にかかわる社会全体の問題です。
 
私たちは野生動物と、どう共存していけばいいのでしょうか。山極さんは「長期の視野に基づいた理念と計画」の重要性を強調しています。

朝日新聞編集委員 上田 俊英



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