故に世の中おもしろい(5時から男はどうなる?)

5時から男はどうなる?

 
私が勤めている朝日新聞東京本社は中央区の築地5丁目にある。都営大江戸線の築地市場駅が最寄りの駅なのだが、JR線なら新橋駅が近い。働くお父さんたちの聖地、新橋である。

夕暮れ。界隈かいわいは仕事帰りに一杯やろうとするサラリーマンでにぎわう。うれしいことに、低価格で安心して飲める大衆居酒屋が集まっている。昼間は謹厳実直な人もほんのりと?を赤く染めて同僚たちと談笑している姿はなんとも微笑ましい。

1988(昭和63)年の流行語「5時から男」を思い出す。タレントの高田純次さんが出演した栄養ドリンクのテレビCMから生まれた言葉で、終業時間の午後5時になると元気になるサラリーマンを意味した。つまり、仕事より飲み会など遊びになるとイキイキとするサラリーマンのことである。

高度成長期の62(同37)年に公開された「ニッポン無責任時代」(東宝)を思い出す。あの映画では「こつこつやるやつぁご苦労さん!」ときまじめに働く同僚らを揶揄するサラリーマン「平均」が登場した。姓がたいら、名はひとし。何とも人を食った名前である。世渡りのうまい男を植木等さんがユーモラスに演じた。あまりの無責任ぶりに、東宝の上層部さえ眉をひそめたという伝説が残っているほどだ。

さて平成の現代。ここ数年、国は「新成長戦略」を掲げているが、成果主義ばかりになったら赤ちょうちんを愛する「5時から男」はどうなるのか。ちょっと不安になる。「ハイ、それまでヨ」では笑い話にもならない。

朝日新聞編集委員 小泉 信一



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