銀幕を生きる(俳優・井浦新さん)

俳優・井浦新さん

 
ARATAと名乗っていた頃から、井浦新さんにはずっと会いたいと思っていました。ほかの俳優とは異なる独特のたたずまい。演技をしているように見えない。いやもっと言うと、演技をしていないように見える。そんな井浦さんに、演技に対する考えを聞いてみたかったのです。
 
2017年11月に公開された大森立嗣監督の「光」に主演する井浦さんにインタビューする機会を得ました。ここで演じる黒川信之は、子どもの頃に犯した罪を、心の奥に抱えたまま大人になった男です。何を考えているのか分からないところがあります。俳優にとっては難役だったことでしょう。
 
井浦さんは大森監督に、この信之の心理が「よく分からない」と言ったそうです。「それは台本を読んで頭で考えた疑問でした。大森監督は役者に『心で感じろ』と、すべてを任せてくる。だから感じたままに芝居をしました。頭で考えていたら、信之を演じるのは難しかったでしょうね」
 
井浦さんの演技の基本は「心で感じたままに動く」ということ。井浦さんには、影響を受けた監督が3人いるそうです。俳優デビュー作「ワンダフルライフ」の是枝裕和監督。俳優として行き詰まった時に出会った若松孝二監督。そして大森監督です。この3人から「心で感じろ」という指導を受けたと言います。
 
演技だからと言って「嘘はつきたくない」と話した時の、彼の真摯な目が印象に残っています。井浦さんの演技は技術から生まれるのではなく、本物の雰囲気をまとっているのです。

朝日新聞編集委員 石飛 徳樹



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